「この投資家が詐欺だったらどうしよう?」——資金調達を目指す起業家にとって、エンジェル投資家からの出資は大きなチャンスです。
しかし、残念ながら投資家を装った詐欺紛いの利用者も少なからず存在します。エンジェルファンドでは日々の監視や皆様から頂くご報告によって、詐欺紛いの行為を確認した場合はアカウントを凍結する措置をとっております。
ただ、詐欺被害は起きてからでは遅いため、そのような詐欺まがいの利用者とやり取りする際、「おかしいな」と感じたらやり取りを進めないようにすることが重要です。
本記事では、起業家が投資詐欺から身を守るための具体的なポイントと対策について解説します。
怪しい投資家の典型的な手口
投資詐欺は巧妙に仕組まれることが多く、起業家が油断すると気付かないうちに騙されてしまうことがあります。
以下は、よくある具体的な手口の例です。投資することを前提とした話だとしても、言葉巧みに「投資のために必要な条件」として話を進めようとする投資家には、ご注意ください。
1. 保証金や着手金の請求
「投資をするために手続きを進める必要がある」として、保証金や着手金を要求するケースです。
「投資/出資」「融資」にかかわらず、契約締結前に費用を支払わせること自体が不自然であることを理解しましょう。
2. 飛行機代の請求
「投資家が海外にいるため、起業家に会うための飛行機代を立て替えてほしい」と言われるケースです。
通常、資金を提供する立場である投資家が交通費を請求することはありません。
3. 事業悪化時のための預託金の要求
「もし事業が悪化した時の保険として預けておいてほしい」といった名目で資金を要求するパターンです。
事業が悪化するような場合、事業計画の見直しや経営への関与、追加投資などを検討します。
「保険として預ける」という表現は、非常に怪しい申し出です。
投資詐欺を見抜くためのポイント
詐欺に遭わないために、次のポイントを必ず確認してください。
1. 即決の出資決定を鵜呑みにしない
信頼できる投資家は、通常、慎重にビジネスモデルや事業契約を確認した上で出資を判断します。
即決で「出資する」と言われた場合は、まず疑いを持つべきです。
投資家は起業家の人柄や熱意ももちろん評価しますが、最も重要視することはビジネスモデルや事業計画であり、投資家が求めることは投資したビジネスが成長した際の利益です。
2. 契約前に金銭の支払いを求められても応じない
信頼できる投資家が、契約前に起業家に金銭を要求することはまずありません。
契約が正式に締結される前に支払いを要求される場合は、詐欺の可能性を考慮しましょう。
3. 「投資/出資」と「融資」の違いを理解する
投資とは、ビジネスが成長した際の利益を期待して資金を提供することです。
一方、融資は利子をつけて返済を求められる資金提供です。
「出資」と称しながら、実際には金銭貸借契約を強要するケースもあるため、契約内容を慎重に確認しましょう。
信頼できる投資家は何を確認するか?
信頼できる投資家が投資を決定する前に、必ず確認するポイントを理解しておきましょう。
- ビジネスモデルの詳細:市場規模、競合分析、収益構造などを詳しく確認。
- 事業計画の整合性:収益予測やスケジュールが現実的かどうかを精査。
- 起業家の人柄や熱意:直接の面談や長期的なビジョンについての質問を行う。
- リスクに対する考え方:想定されるリスクと対策について具体的な質問を行う。
これらを尋ねず、ただ「資金を提供したい」と言ってくる投資家は怪しいと考えてください。
投資詐欺から身を守るための対策
詐欺被害にあわないためにも、ご自身で出来る対策を常に心がけましょう。
- 相手の素性を徹底的に確認する:SNSや企業データベースで実績を調査。
- 契約書を用意することを徹底する:口約束ではなく、必ず書面に残す。
- 専門家の意見を仰ぐ:弁護士や信頼できる他の投資家に相談する。
- 第三者機関を利用する:エンジェル投資家ネットワークや業界団体を活用する。
まとめ
- 投資家から即決で「出資する」といった連絡を受けても、鵜呑みにしない
- 投資家から何らかの理由で、契約締結前に金銭の支払いを求められても、安易に応じない
- 「投資/出資」と「融資」の違いを理解する
起業家にとって、資金調達は事業の成否を左右する重要なプロセスです。
しかし、詐欺の被害に遭ってしまっては元も子もありません。
投資家からの提案を受けたときは、焦らず慎重に確認を行い、信頼できる専門家と連携して対策を講じましょう。